「音を真似る」だけ真似てもだめ

全国通訳案内士

英語学習をしている方。あこがれている、目指している方はいますでしょうか?

僕は、そういう人は多数いるのですが、特に発音に関しては、日本で英語を習得された方でかっこいい発音をしている方にあこがれます。

僕のような世代だと、小林克也さんが真っ先に出てくる方の一人ではないでしょうか。

多分40代以下の方は知らないと思うのですが、昔「ベストヒットUSA」という、洋楽のチャートトップ曲を紹介するテレビ番組がありました。そこでDJっぽいスタイルで司会をしていたのが小林克也さんでした。金曜の夜だったか土曜日の夜だったかな。僕は実はあんまり洋楽に強い関心はなかったのですが、この番組は良く見ていました。


英語の発音が本当にうまい人、かっこいい人は、音の出てくる場所が違う感じがしますよね。低くて響く。(英語っぽい音の秘密については、以前こんな記事を書きました。)

「この人の発音かっこいいなぁ。帰国子女なんだろうなぁ」と思っていました。が、大人になってから、この方が日本生まれ日本育ち、日本でこれだけの英語を身に着けた方だと知りました。

古いですけどその番組でアーティストにインタビューした動画もいくつかYoutubeにありますね。これが本当に、あのメディアが限られていた時代に日本だけで勉強してきた人の英語でしょうか?

アメリカのラジオ番組を聞いて真似をして英語を上達した、なんて聞くことがありますけど、本当に同じことをしてどれだけの人が英語ができるようになるんだろう、と不思議に思っていました。

最近、小林克也さんが、ご自身が通っていた小学校に言って授業を行ったというNHKの番組を本にしたものを偶然見つけて、読んでみたのですが、そこで分かったことがありました。確かにやったことは音のマネなのですが、その前提が違ったんです。特に強く感じたのは以下の二つです。

①強くあこがれる対象がある

一番大事だな、と思ったのは、その対象に強くあこがれていることだな、と思いました。

小林さんの時代は、家庭の団欒でお茶の間に置いてあったのはテレビではなくラジオだったそうです。小林さんは広島県福山市のご出身だそうですが、そこでは、その頃は良く英語の放送もラジオで聞くことができたとのこと。

小学校の時、そのラジオから流れてきたのが、エルビスプレスリーの「ハートブレイクホテル」。子供心に思ったことが書かれています。『プレスリーの歌を聞いて「これは自分の言葉じゃないかな」っていう気持ちになりました。違う言い方をすると「血が騒ぐ」っていうことになる・・』。

血が騒ぐってすごいですよね。僕もNHKの英語のラジオ番組は好きですけど、さすがに血は騒がないなぁ(笑)。

英語でも何でも、勉強は若いうちにするといいっていうのは、こういう、純粋な「好き!」という憧れの気持ちを対象に向けられるからなんだろうな、と思います。(もちろん大人になってもそうなんでしょうけど)

『ラジオを聞いているうちに、ロックンロールの歌声のなまりだとか、声の高さ低さだとか、速さだとか、リズムだとか、どういうふうなブレス・・・・息継ぎをするのかっていうふうなことにとても興味がわきました』とのことです。本当にそのものになり切りたいくらいあこがれが強くあったから、ここまで深く学べたのだなぁと思います。

(ちなみにこの本で書かれていましたが、小林さんは慶應大学在学中に、今でいう全国通訳案内士の資格を取って通訳ガイドをされていたとのこと。そこで外国人に、「お前の英語は南部なまりだ」と良く言われていたそうです。昔のロックはそういうなまりが多かったそうです。それくらい音を再現できていたということですね。)

②感情を大事にして、それを言葉にする

もう一つは、自分の感情を大事にする、ということでした。この本では小林さんが自分の故郷の小学校にいって、小学生に授業をします。そこで、安室奈美恵の「Don’t wanna cry」の歌詞から、子供たちに、今、自分がやりたいことを、感情をこめて声に出してもらう、ということをやっていました。「I wanna go home.」とか、「I like dogs.」とか。簡単な文ですが、今の自分の本当にやりたいこと、感情を大事にして、その気持ちを言葉に込める。

これって考えてみると当たり前のことですよね。伝えたいこと、気持ちがあるから言葉を学ぶのだから。

これを書いていて思い出しましたが、同時通訳者の横山カズさんも、自分に沸き上がった感情を伝えることを大事にするように、というようなことを書かれていたと思います。

自分も、これらの気持ちを大事にして学んでいこうと思いました。

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