採択事例に見る、小規模事業者持続化補助金申請書のポイント

中小企業診断士

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者の方にとって、使い勝手の良い補助金として「小規模事業者持続化補助金」という制度があります。良く「持続化補助金」と呼称されます。

この持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する制度で、「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の2種類があります。

前者は、補助金額50万円まで、補助率は2/3です。後者は、「ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、⽣産プロセスの導⼊等の取組、及びその取組に資する感染防⽌対策への投資を⽀援」する名目で、補助額上限:100万円、補助率:3/4ですが、補助対象経費のうち1/4を上限として感染防止対策を支援する、となっています。(中小企業庁の運営しているサイト https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/persistence/ からの引用です。)

双方とも、これまでに何度か募集を行い、採択を行っています。

採択率は決して高くない

例えば、一般型の第五回公募分では、中小企業庁のサイトによると「令和2年3月10日から募集を開始しており、令和3年6月4日に第5回公募分を締め切りました。申請のあった12,738件について外部有識者による厳正な審査を行った結果、6,869件の採択事業者を決定しました。」とのことでした。

中小企業庁:令和元年度補正予算「小規模事業者持続化補助金」の「一般型(第5回締切分)」の補助事業者が採択されました
令和元年度補正予算「小規模事業者持続化補助金」の「一般型(第5回締切分)」の補助事業者が採択されました

約54%ですね。真剣に検討し時間をかけて書類を準備し、申請した結果、約半分しか通っていないということで、結構狭き門になっているという感じがします。

過去の採択事例を見てみる

ここでは、過去の採択事例から、採択されるためのポイントを検討できないかという考えのもと、公開情報からポイントがつかめないか探してみました。

全国の商工会議所、商工会のサイトなどを探しました。なかなか「申請書の実例」を載せてくれているところはなかったですが、以下の一宮商工会議所に掲載されている「一般型 経営計画 記載例」となっている事例が、(おそらく)実際の申請書をベースに書かれているようでリアリティがありました。ラーメン屋さんが、テイクアウトという新しいビジネスを開始するための補助金を申請する事例ですね。

小規模事業者持続化補助金 | 一宮商工会議所
本補助金は給付金ではありません。 経営計画書を作成する必要があり、審査の結果、不採択となる場合もございます。 概要 小規模事業者等が、今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するために取り組む販路開拓等の経費の一部を補助することにより、地域

http://www.ichinomiya-cci.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/808fa52e62afa09c6313dfa9192c8ea3.pdf

僕なりにポイントをまとめると、以下の通りになります。

①企業概要に、審議者がお店のイメージをつかむことができるような記載や写真を入れる

特に飲食店は、写真は必須でしょうね。

②どの商品が売上、利益に貢献しているかを数値化する

売上総額、利益総額の大きい商品それぞれのトップ5と月額を具体的に書いています。何を伸ばせば良いかイメージできますね。

③市場規模をできる限り定量的に記載する

その業態に対するピンポイントの市場希望を定量的に記載するのは、どんな業界でも難しいですが、公開情報からできる限り情報を収集して記載しています。商圏の人口や、年齢層などは、調べればま図分かりますから必須ですね。

④自社の「強み」をはっきり理解しており、それを具体的に書いている

これが一番重要かもしれません。この事例では、良質な材料を使った、鶏白湯ラーメンが強みだということを事業者がはっきりと理解しており、具体的な理由とともに述べています。

⑤自社の強みを、機会をとらえて伸ばすという、SWOT分析からのストーリーが明確

SWOT分析というのは、その中身が軽いと説得力が薄まってしまうケースが多いのですが、Sが明確であれば、がぜん説得力が増します。この申請書では、そこが明確になっているため、ストーリーが分かりやすく、読む人に対して納得感を与えるものになっていると感じました。

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